中村研一記念小金井市立はけの森美術館は、財団法人中村研一記念美術館より作品および建物の寄贈を受け 2006年春に開館しました。このたび、開館10周年を迎えるにあたって、主要コレクションをなす中村研一(1895~1967年)の画業の全貌を回顧します。
中村研一は明治に生まれ、大正・昭和にかけて活躍した洋画家です。東京美術学校 (現在の東京藝術大学)を卒業後、画家修業を積むために渡仏、その間にサロン・ドートンヌの会員になりました。帰国後は帝展、文展、日展の審査員を歴任し、日本芸術院会員になるなど、その活動は日本の近代洋画壇の中核を担うものといえます。戦後、中村研一は自然豊かな小金井に居を構え、最晩年に至るまで精力的に創作活動を続けました。
「開館10周年記念 中村研一回顧展」と題した本展覧会では、当館が所蔵する約800点の作品のなかから、油彩画、水彩画、素描、陶器などの作品を年代ごとに振り返ります。遺品、写真などの貴重な資料も展示し、幅広い創作活動を概観するとともに、初期時代の堅固な写実的表現から後期時代の明快で伸びやかな表現へと移行する制作の軌跡をたどります。本展覧会は、中村研一の芸術の魅力に迫るまたとない機会になるでしょう。