紙漉は楮の繊維と水の力から成る造形であり、新たな表現を導き出し、ワクワクさせてくれる。わたしは紙漉の技法を応用し、糸を硬化させる制作を続けている。糸を引っ張ったり、糸を交差させたりなどテンションをかけた糸の集合体に紙の繊維が加わる。そして緊張感のある糸の集合体は、自立する造形へと変貌する。この一連の行為は「巣」をイメージすることから始まり、入り組んだ紙のキューブ状の造形は新たな自然のかたちへと様相を変えていく。
キューブ状の造形はブロックのように積み上げられ、壁となり柱となる。「巣」のイメージから始まった造形は集合し有機的な構造物に変貌する。わたしは長い時を経た建造物に興味を持ち、人工的に作られた建造物もいつか時間とともに自然の風景と溶け込むことを感じる。積むことで、自ら建造物を作り出す。今回は門(gate)、入口であり出口である門、心の儀式的な気持ち、門と対峙する。門からの感性を一連の行為とともに建ててみた。
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