福山市は広島県の南東部に位置する備後地域の中核都市です。岡崎市とは昭和四六年に親善都市提携をしました。この提携は、両市がともに大正五年(一九一六)七月一日に市制施行したこと、さらに徳川家康と福山藩開祖の水野勝成が従兄弟であるという理由などで結ばれました。今年は両市がともに市制一〇〇周年を迎えることから、これを記念して本展覧会を開催いたします。
福山市は、古代には備後国分寺や備後国一宮である吉備津神社がおかれ、中世には芦田川河口近くに位置する港湾集落である草戸千軒や、その背後に常福寺(明王院)が成立し、古くから潮待ちの港として栄えた鞆の浦が、瀬戸内海の重要な交易拠点として発展しました。近世には元和五年(一六一九)に水野勝成が備後十万石の領主となり、西国鎮衛の拠点となる城郭を築き、地名を「福山」と名付けました。明治以降、福山は備後地方の中心的な役割を果たし、大正五年に市制を施行、福山市が誕生しました。昭和二〇年の空襲により市街地の八割を消失しましたが、戦後は瀬戸内海の臨海工業地域として発展し、平成一〇年には中核市に移行しました。
本展では福山の歴史と文化を物語る文化財の優品約一三〇件を展示し、福山の魅力を紹介します。福山市への理解を深めるとともに、両市のさらなる交流の契機となれば幸いです。