岡本太郎は、美術業界でいうところのいわゆる「門下」や「弟子」はとらず、「ひとりで孤独に」立ち向かうポジションを取りつづけました。まるで万博会場にひとり残った「太陽の塔」のように。けれど一方、敗戦後の日本において、岡本太郎ほど、仲間と力を合わせて共同で道を切り拓く「芸術運動」の力を真っ直ぐに信じたアーティストもいないかもしれません。
戦後から1950年代は「アヴァンギャルド(前衛)」と「芸術運動」の時代でした。岡本太郎が盟友である評論家・花田清輝とはじめた芸術運動「夜の会」をはじめ、「アヴァンギャルド芸術研究会」、「世紀の会」、「現代芸術研究所」、「アートクラブ」、「国際デザインコミッティ」、「記録芸術の会」など…岡本はじつに様々の芸術運動やグループに関わり、自らも主宰しています。
当館では開館以来、そうした関わりの深い作家の作品や「芸術運動」の資料も収集を行ってきました。若き日にそうした活動に参加し、岡本や花田の言葉に時に共鳴、時に反発しながら制作活動を続けてきた同時代のアーティスト達。当館の収蔵資料より、戦後の「アヴァンギャルド」の作家たちの活動の一端をご紹介します。