タイトル等
津田直
「Grassland Tears」
会場
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルム
会期
2016-02-20~2016-03-26
協賛・協力等
本展覧会は、アーツカウンシル東京の「平成27年度東京芸術文化創造発信助成」を受け開催致します。
概要
タカ・イシイギャラリー フォトグラフィー/フィルムは、2月20日(土)から3月26日(土)まで、津田直個展「Grassland Tears」(草むらの涙)を開催いたします。タカ・イシイギャラリーでの3度目の個展となる本展では、津田が、日本の基層文化としての縄文文化に焦点をあて、ランドスケープと静物で展開する新作から、約14点を展示いたします。

津田直は、自身を「世界を翻訳する写真家」と称し、ファインダーを通して古代より綿々と続く人と自然との関わりを捉え、そこにあるべき関係性への問いを投げかけてきました。6年程前から新作制作に挑みはじめた津田は、自然と共生する社会の原初的な姿を縄文時代に見出し、国内で数多くの縄文に関するフィールドワークを行ってきました。

中でも、本展を構成する契機として、作家は真冬の東北で撮影された二枚組の写真を挙げています。

2011年3月9日。大自然が大声を唸らせたあの日の2日前、僕は東北の雪原を歩き回っていた。辺りは数日前から降り止まない雪に霞み、氷点下となっていた。目前には小高い丘が見えていた。そこは約4000年前に人々が祭祀場として使っていたという森だった。しかし樹木の茂みは見えているものの、近づくことさえできなかった。踏み入れようにも一歩踏み出すと、半身が雪に沈んだ。地面には足が届きそうになかった。春を待つことにした。

東北地方や北海道をはじめとする、東京より北部の地域を中心に展開されるフィールドワークは、考古学のそれを思わせる密度を持って行われました。作家の従来からの撮影対象であるランドスケープに加えて、本シリーズにおいてその探求の導き手として、作家独自の視点から撮影された多くの遺物は、考古学的資料に基づきその出土場所から品目名、年代が綿密に記録されています。一方で、津田の「縄文歩き」はその土地に今でも残る縄文時代の生活の痕跡を身体で解いていく作業であり、それらの集積は研究者的な視点による事実の体系化に留まることなく、作家の関心は自然観・死生観・時の捉え方など、縄文時代の精神文化へ向けられています。

これらの縄文・続縄文時代の遺物は、単なる「モノ」ではなく、「形ある霊魂」であり「循環する命」そのものなのだと津田は考えます。その姿を紐解くべく像の階調を反転させた作品について、作家は、反転した世界=ネガの世界のうちに、暗闇には光が灯り、光には暗闇が仕舞われているのだと語っています。

生きとし生けるものは、この世に姿を現すときよりも、姿を消してゆくときの方が、よりその存在が露わになるのではないだろうか。一万年という果てしない地層を一頁ずつめくり、闇と影の間に光が蘇ったとき、我々の目には何が映り、何が残されてゆくのだろう。

未だ見ぬ日本の原初的な風景や遺物に見られる縄文の表現や精神に焦点をあて撮影された作品群は、自然の中での循環と共生が世界の特別などこかで紡がれてきた物語ではなく、我々自身のうちに培われた事柄であるということに改めて気付かせてくれると共に、未来への示唆を与えてくれるはずです。
イベント情報
オープニング・レセプション : 2月20日(土) 18:00―20:00

津田直トーク・イベント : 新作「Grassland Tears」について
日時:2016年3月12日(土) 20:00―21:30
会場:IMA gallery (東京都港区六本木5-17-1 AXISビル3F)
入場料:1,000円 (要予約)
問い合わせ先:IMA CONCEPT STORE
ホームページ
http://www.takaishiigallery.com/jp/archives/13936/
会場住所
〒106-0032
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2F
交通案内
日比谷線・大江戸線「六本木駅」3番出口より 徒歩8分
南北線「六本木一丁目駅」1番出口より 徒歩8分
大江戸線「麻布十番駅」7番出口より 徒歩8分
ホームページ
https://www.takaishiigallery.com/
東京都港区六本木5-17-1 AXISビル 2F
Webcat plus 展覧会タイトル等から関連資料を連想検索