パメーラ・ジューン・クルック(1945~)は、英国の現代画家です。グロースターシャーカレッジに進学し、織物と染色を専攻。卒業後は、織物デザイナーとして活躍しました。27歳のとき、子育て中の余暇に絵を描き始めて以降、70歳になる現在まで精力的に絵画を中心とした制作活動を続けています。
織物デザイナーから画家へと転身を遂げたクルックは、既成概念にとらわれない自由な発想で制作に臨みます。本来、絵画を保護し縁を彩る役割を持つ額装にまで絵を描いたり、変形カンヴァスを用いたりすることが彼女の作品の大きな特徴です。形状にこだわった作品には、一心不乱に新聞を読みふける日本人の姿や都会の人ごみなど、クルックの記憶や体験を基にした絵が描かれました。ありふれた情景をテーマにしているものの、独自の筆致と画風によって作り出される不思議な世界観はクルックならではといえるでしょう。
本展覧会では、当館コレクション23点に新作を加えたおよそ35点を紹介し、クルック作品の魅力に迫ります。