新春恒例の収蔵品展、今年度は、世界と熊本の“空と海と風”を描いた作品を集めてみました。驚くほどリアルな海岸から、空想に満ちた夜空まで、作家の描きだす風景は多種多様です。
例えば、士野精二「郡浦方面春景」に描かれた三角の海は、春らしい光に満ちています。野口みさを「青い月」は幻想の空でありながら、熱い吐息と冷たい夜風のコントラストが肌に迫るようです。実際にあなたが絵の前に立てば、また違った感覚やイメージが湧いてくるかもしれません。春の陽射しにあたたかみを感じるよりも、故郷の海と友人に会いたくて切なくなるかもしれません。風を感じとる間もなく、ただ青の美しさに心打たれてしまうかもしれません。描く人の数だけ空と海と風があるように、見る人の数だけ空と海と風があるのです。
展示室でみえた景色を、周りの方やご自分自身と語らい、心を通わせるきっかけにしていただけたら嬉しく思います。新収蔵品をはじめ約50点の作品を、どうぞご自由にお楽しみください。