中国陶磁は、高い技術と優れた造形によって、世界の陶磁器の発展に大きな影響を与えてきました。その歴史は古く、新石器時代の土器にまで遡ることができます。一万年以上に亘る歴史の中で、華南の青磁や華北の白磁、唐三彩をはじめとする優品の数々が生み出されてきました。10世紀頃からは、景徳鎮窯や越州窯など数多くの窯が興り、中国全土で窯業生産が発達。宋代には釉色やフォルムの美しい陶磁器が、元時代以降にはあざやかな文様や彩色の施された陶磁器が、数多く作り出されました。
韓国では、10世紀、高麗時代に青磁生産が開始され、象嵌など特有の技法が花開きます。朝鮮王朝(李朝)時代には、官窯で上質の白磁が作られたほか、地方窯では白化粧土で装飾された粉青沙器 (ふんせいさき) が生み出されました。李朝時代の磁器は、日本の茶人たちにも珍重されました。
本展では、愛知県陶磁美術館の所蔵品から、中国と韓国の陶磁器併せて約100点をご紹介し、悠久の歴史を持つ中国陶磁の完成された美、そして日本人にも大きな影響を与えた高麗・李朝の独自の美意識を展観いたします。陶磁器の変遷や造形美を通して、東アジアの文化の魅力をお楽しみください。