嶋田しづ(1923~)は、1958年に国費留学生として渡仏し、以後20年、パリを拠点に活動をしてきました。彼女は油彩で、淡い色彩の浮遊物が漂っているような、軽快で透明感のある空間を作り上げています。帰国後は逗子に住み、油彩、水彩、版画など様々なメディアに取り組んでいます。
磯見輝夫(1941~)は、杉板を版木として用い、横に並べ継いで大型版画を制作しています。板と板との継ぎ目や、板目の違いによる刷りムラも取り込んだ、独自の力強い画風を確立しています。近年は重厚かつ繊細に、海面や地面に現れる様々な事象の変化を、版にとどめています。
色彩豊かでリズミカルな絵画を描き続ける鴫田しづ。モノクロームの木版画の可能性を探求する磯見輝夫。本展は、それぞれ最新作を含めた約90点で構成し、二人の作品世界の響きあいに出会う、またとない機会となります。