本展では、フォーヴィスムの旗手として日本でも根強い人気を持つヴラマンクを中心に、秋に相応しい作品を展示致します。
今回洋画では、『リヴ・ゴーシュ』よりヴラマンクのエッチング9点ほどを初公開致します。
リヴ・ゴーシュ(左岸)とはモンパルナスに代表されるように多くの芸術家たちに愛された区域で、ヴラマンクを始めモジリアニ、ドラン等の画家や詩人のアポリネール、作家のアンドレ・サルモン等はこの河岸のカフェに集い、そこから新しい芸術的風潮や思想が誕生しました。
サルモンの小説『リヴ・ゴーシュ』とヴラマンクのエッチングは、そのような芸術の都パリの中でも特にパリらしい一角の情景を描写しています。
またヴラマンクの油彩より、嵐の到来を予感させるような空と静寂感漂う村の様子を描いた「アルジャンタンの村」、フランスの田園風景を彼独自の自然観と共に表した「秋の風景」、「ポプラ並木」、静物画の代表作ともいえる「錫の酒つぼのある静物」等も御鑑賞下さい。
その他にヴラマンクと同時代に活躍したドランの「静物」「花」、ルオー「道化師と踊り子」、キスリング「花」等を御覧頂きます。
日本画は、萩や尾花、女郎花等の秋の草花を靄の中に浮かび上がらせるように描いた横山大観「秋色」、秋の月の清明かつ艶麗な美しさを表現した青邨「秋草」、豊かな秋の実りを感じさせる杉山寧「枝柿」等、日本の秋の風情溢れる作品を展示致します。
工芸は、金蒔絵硯箱「春山水」「秋山水」を対にて展示致します。
清澄な空気に満たされた秋の鎌倉で、重厚な魅力溢れるヴラマンクの作品と季節の情緒漂う作品の数々をお楽しみ下さい。
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