10-11月のTARO NASUはニューヨーク在住のアーティスト、田島美加の個展を開催します。
田島美加の作品に共通する主要テーマの一つとして、「人工物」としての建築、特にモダニズム建築に対する考察がある。
田島は、モダニズム建築が人々の生活に浸透し、包囲しているものであると考えてきた。作品制作のきっかけとなったアメリカの企業、ハーマン・ミラー社のキュービクルはその象徴的な存在と言える。効率化、モジュール化、規格化といった、モダニズムの根本にある思想を体現しつつ、そこに居る人間の意識にはたらきかけ行動を制御・支配しうるものとして、オフィスパーテーションや可動壁の形状は田島の作品にて繰り返し用いられている。
日本では初の個展開催となる本展では、繊維工場で発生する機械作業音をデジタルデータに変換し、再びそのデータをジャガード織へと変容させた代表作品シリーズ「Negative Entropy」や、オフィス環境から着想を得た絵画「Furniture Art」シリーズなどの未発表作品に加え、新作の立体作品を公開予定。
現代社会において「自然」は日に日に減少し、我々は「人工物」に取り囲まれた日常を送っている。人間は自らの手で生み出したものに支配されながら生きていくのか? 田島は「人工物」に批判的な眼差しを向けながら、現代における人間とテクノロジーの共存のあり方について問いかける。