当館は、平成27年3月に静岡ハリストス正教会(生神女庇護聖堂)から、山下りんと日比和平のイコン(聖像画)、計20点の寄贈を受けました。
静岡ハリストス正教会は、静岡市北東部に位置し、その鐘楼は新幹線の車窓から見ることができました。静岡における正教の開教は1877(明治10)年にはじまり、1883(明治16)年に市内人宿町に最初の静岡教会会堂を新築し、その後いくたびかの移転を経て、1959(昭和34)年に現在の葵区春日に聖堂を建立しました。その聖堂の老朽化にともない、新聖堂の建設が計画され、新しいイコノスタス(祭壇のある至聖所と信者席との間にある仕切り壁)内に収まりきれないイコンを正教会関係者や信者の方々のご好意により、国内有数のイコンコレクションを誇る当館にご恵贈いただきました。
資料は、日本初のイコン画家として各地の正教会に多数の作品を残した山下りん(安政4/1857―昭和14/1939)のイコン6点、正教徒で50年以上にわたりイコンを制作した日比和平(大正3/1914―平成12/2000)のイコン14点になります。
展示では、寄贈資料20点を中心に、当館のイコンコレクションの中から選んだロシアとギリシアイコン20点のほか、経年により傷みが生じた山下りんのイコンの修復過程もあわせて紹介いたします。
時代や地域は異なりますが、日本、ロシア、ギリシアのイコンのかもし出す聖なる世界をご堪能いただければ幸いです。