昭和初期はさまざまな分野の人たちが古陶磁に関心を持ち、収集した時代でした。とりわけ日本のやきものとしては、志野、織部、備前、唐津、伊賀などの桃山陶芸が高く評価されるようになりました。こうしたなかで桃山陶芸に注目した陶芸家たちは、はじめはその再現を目指しましたが、やがて、桃山陶芸をよりどころとしながら独自の作風を確立していくようになりました。
この展覧会では、こうした桃山復興という潮流のなかでさまざまな取り組みを見せた近代の陶芸家たち―北大路魯山人、荒川豊蔵、金重陶陽、川喜田半泥子を中心として―の作品と彼らが愛蔵した桃山古陶を紹介します。また、陶芸家と同じようにやはり桃山時代の茶室研究に基づいて近代日本の和風建築の名作を残した建築家堀口捨己にも焦点をあてて紹介します。