画家、絵本作家、装丁家として幅広く創作活動を続けている安野光雅。なかでも、国内外の取材旅行を通じて取り組んだ風景画は代表的なテーマのひとつです。安野は1963年に初めてヨーロッパを訪れて以来、各国を旅しながら心に留まった風景を描いてきました。それらは、鉛筆の柔らかな線に淡い水彩で仕上げられ、静かな旅情をたたえています。またパノラマの風景を細やかに描き込んだ『旅の絵本』シリーズのように、想像力や遊び心に富んだ風景画も手がけています。
本展は、画家の郷里、島根県津和野町にある安野光雅美術館の所蔵作品から、ヨーロッパの風景に焦点をあて紹介するものです。旅先のスケッチにもとづく旅情豊かな風景、絵本のための風景など、水彩原画約100点を展示します。安野光雅が描いた「旅の風景」によるヨーロッパ周遊旅行をお楽しみください。