被災地での交流活動を続ける作家が、忘却されていく体験をファンタジーとして描く
パルコキノシタは、1980年代末から、画家、イラストレーター、漫画家として、一貫してグラフィックな作品を手がけるとともに、ワークショップやパフォーマンスなど社会的アクションで、私たちの生きる時代と積極的に関わり表現活動を行ってきました。2011年の東日本大震災以後、石巻や女川などの被災地へおもむいて支援活動を行い、震災にあった子どもからお年寄りまで、全ての方々とワークショップを通じて交流する活動を続けています。そうした体験から私たちの社会にも思いをめぐらします。甘い来世を意味する「スウィート・ヒアアフター」には、過酷な体験が忘却され、ファンタジーとなって私たちの記憶が変えられていくプロセスへの抵抗が込められています。ファンタジーの中にリアルを残すことが、アーティストの仕事ともいいます。ときに奇抜でありながらも、ペーソスのあるユーモアを失わず、逆説的にしか示せない社会の隠された真実を浮かび上がらせるパルコキノシタ。震災から4年にして、私たちが生きる「いま」を静かに問いかけます。