1974年の安井賞受賞を機に、一躍、画壇の寵児となった絹谷幸二。以来、画家は、所属する独立展での発表のほか、数々の個展、グループ展での発表を精力的に行い、今日、押しも押されぬスター作家としての地位を確立しています。
東京藝術大学大学院修了後のイタリア留学で古典技法アフレスコを習得。その技法を独自のものとしながら、画家自身にたぎるエネルギーを表出したかのような奔放かつ鮮烈な絵画表現。人物画でスタートしたその画業は、ヴェネツィア風景、富嶽など多様な展開を見ながら、近年では古事記をはじめ日本の神話、信仰を背景とするドメスティックな精神世界を追求するなど、さらなる円熟の境地に達しています。
今展では、2014年度文化功労者顕彰を記念し制作された《黄金背景富嶽旭日・風神雷神》、2001年日本藝術院賞受賞作《蒼穹夢譚》などから、絹谷芸術の出発点ともいうべき若き自画像まで、新旧30余点を展観。他の追随を許さないオリジナリティあふれる作品世界の全貌に迫ります。