当館では2014年7月、サルバドール・ダリ、ヴァランティーヌ・ユゴー、ガラ・エリュアール、アンドレ・ブルトンの4人による共同制作絵画《甘美な死骸》を新たに購入致しました。「甘美な死骸」とは、20世紀フランスのシュルレアリストたちの間で流行した遊びのことです。この遊びによって作られた文章や絵は一様に《甘美な死骸》というタイトルを持ちます。シュルレアリストたちはこのほか、「自動記述 (オートマティスム)」や「コラージュ」と呼ばれる、遊び心を出発点にしたような斬新な技法でシュルレアリスムの世界を探求していきました。
ダリは1934年頃までこのグループに参加しています。自らを<jeux (仏語で遊び、たわむれの意)>と呼び、シュルレアリストたちとの交流から学んだ技法や思想を反映させた独自の制作手法は、まさに「遊び」と呼ぶにふさわしいものでした。
本展では、新収蔵作品《甘美な死骸》を含むダリやその周辺作家の作品およそ50点から、ダリの制作態度やモティーフについて「遊び」というキーワードから読み解きます。ユーモアに満ちたダリの世界観を是非、お楽しみください。