このたび、京都画壇に独自の足跡を残した三木翠山(1883~1957)の回顧展を開催いたします。
翠山は兵庫県加東郡社町(現加東市)に生まれました。その後京都に出て竹内栖鳳に師事、栖鳳の画塾である竹杖会塾生となります。1913(大正2)年第7回文展に「朝顔」が初入選し、以後は文展、帝展、新文展の常連作家となります。
栖鳳の助言もあって美人画の創作に励んだ翠山は、第12回文展「衹園会」やローマ開催美術展「鏡」、紀元2600年奉祝展「維新の花」などの名品を発表しました。やわらかく品位のある女性像は人気を博し、美人画家としての地位を確たるものとしました。
戦後はアメリカで美人画個展を開催して好評を得るなど、海外でも高い評価を受けましたが、1957(昭和32)年に京都で急逝しました。
本展では翠山の初期から晩年に至る作品を紹介するとともに、大正の五十三次を目指して大規模、かつ華やかな取材旅行を東海道で敢行した際の資料を完成作「東海道五十三次 箱根」とともに紹介する特別コーナーや、栖鳳門下の上村松園、橋本関雪、濱田観、池田遙邨、伊藤小坡、小野竹喬、村上華岳、水越松南、森月城、土肥蒼樹の作品を紹介するコーナーを設けて、翠山をとりまく同時代の京都画壇の状況を概観しながら、翠山の創作の魅力をご堪能頂きたく存じます。