碧南市藤井達吉現代美術館では、このたび近代日本を代表する画家・竹内栖鳳の生誕150年を記念して、栖鳳の多彩な画業を通観する展覧会を開催いたします。
栖鳳は1864(元治元)年、京都に生まれました。時代に即した新しい絵画を模索していた明治初期、若き栖鳳は京都の伝統的な画派である円山四条派だけでなく、数多くの流派の画技を習得します。彼の変幻自在な表現は、時に「鵺 (ぬえ)」と揶揄すらされました。
新しい日本絵画を追求する栖鳳の表現は、伝統的な日本絵画の枠組みにおさまるものではありませんでした。1900(明治33)年に渡欧した栖鳳は、ヨーロッパの芸術に大きな感化を受け、帰国後、その技法を巧みに取り入れた近代的な日本画の創出に取り組みました。幼少からの絶え間ない修練に裏打ちされた圧倒的な筆技を下地とし、新たな表現技法を貪欲に吸収した栖鳳は、伝統と革新の双方を体現した画家といえます。
本展では、113年ぶりの公開となった油彩作品《スエズ景色》をはじめ、多くの名品・初公開作品を展示し、栖鳳が過去より継承したものは何であったのか、そして未来へつなげていったものは何であるのかをあらためて探ります。栖鳳の多様な表現の世界をどうぞお楽しみください。