海外からの里帰り作品を含む大規模な雪村展がいよいよ開催されます。生涯の実り多い壮年期・晩年期を過ごした福島県での開催には意義深いものがあるでしょう。
雪村周継(せっそん しゅうけい)は16世紀、関東東北で活躍した水墨画家です。室町時代の水墨画は禅宗との関連が深く、雪村も禅宗の僧侶でした。しかし雪村の絵は禅僧の余技のレベルをはるかに超え、現代の私たちに、また国境を越えて世界の人々に強烈に訴える力を持っています。
戦国大名佐竹氏の一族として常陸国(茨城県)に生まれ、小田原、鎌倉、会津などを遍歴し、晩年は三春に落ち着いた雪村は、秀吉の時代まで生きたことは確実で、展覧会名に「戦国時代」とあるのもこのためです。
本展では、雪村ならではの時代を越えた大胆でエキセントリックな表現が際立つ作品を積極的に集め、雪村の強烈な表現意欲を伝えたいと思います。