昭和(1926-1989)の軌跡をふりかえると、日中戦争から第二次世界大戦、敗戦からの復興、経済成長とまさに疾風怒濤の時代でした。子どもたちを取り巻く環境も、これほど短期間で激変したことはなかったことでしょう。
優れた写真家が切り取った子どもたちの姿には、時代の変容が見事に表れています。子どもの写真は、人それぞれが自らの幼い日々を重ね合わせ、記憶をよみがえらせる強いインパクトを持ち、時代を浮き彫りにするのです。無心に遊ぶ子どもたちの姿からは、どの時代でも変わらない笑顔があふれ、私たちの心を温かくしてくれます。
本展覧会は、木村伊兵衛、土門拳ら、日本の写真史に名を残す写真家たちの作品約170点に写しだされた子どもの姿を通して、戦前から高度経済成長にかけての昭和の歩みをたどります。