神秘と幻想の画家オディロン・ルドン。
印象派のクロード・モネと同じ年に生まれながら、対極ともいえるまったく異なる絵画世界を開拓したのがルドンであった。
モネが大気現象の変化につれて移ろう現実の風景の印象を追いかけていたとき、ルドンは目に見えるものの背後に潜む美のエスプリを探っていた。
その美は絶対を求めた錬金術のように神秘的である。
あくまでストイックな求道者のような黒と、
花の香りのようにたちのぼる不可思議な色彩との、
夢のような対位法。
ルドン芸術、それは白昼の夢であり絵画による音楽である。