大らかな水の流れや水辺の風景に安らぎを感じ、また水面に姿を映して思いを馳せるなど、人々にとって水は潤いを与える以上に身近な存在であったといえます。水は万物を生み出す生命の源であり、古来、水は神聖なものとされ、聖域につながる存在とも見なされました。また、人々は雨や雪によって季節を感じ、水の流れに想いを託して歌や物語を紡ぎました。中国や朝鮮半島、日本の絵画や工芸品には、水や波、水中の動植物があらわされた画題や文様は数多く、その表現は多岐にわたります。本展覧会では東アジアの絵画や工芸品を展示し、「神聖な水」「水の恵み」「四季の中で」「水をめぐる物語」の四つのテーマから、水の表現についてアプローチし、人々の水へ託した想いを見つめます。 (担当 瀧朝子)