日本各地の民家を訪ね歩き、四季折々の風景のなかにその佇まいを描き続けた向井潤吉(1901-1995)。なかでも青森、岩手、宮城、福島といった、古くはみちのく(陸奥)と呼ばれた地域には好んで足を運びました。その土地固有の風土や自然環境に密着してこそ美しいと信じて向井が描いた民家の姿―芽吹きの春から初夏にかけての瑞々しい季節を描いた作品であっても、その景色には、厳しい冬を越してゆく土地の持つ力強さが内包されています。本展では、みちのくを歩いた向井潤吉の足跡を辿る作品をはじめ、さらに東北各地で制作された諸作品もご紹介いたします。