終戦から七〇年が経過した本年、油彩、水彩画、戦地のスケッチなど板橋区立美術館のコレクションを通じて、第二次世界大戦を中心とする「戦争」を芸術家がどのように表象したのかを検証する展覧会です。また、今回は特別展示として戦後、職場美術協会に関わり、中央美術研究所を創設した画家・杉本鷹の作品(寄託)もご紹介します。
第二次世界大戦中、日本の美術界では、出版や言論と同様に、画題や表現方法に制限が加えられ、芸術家たちは自由な制作、発表活動が難しくなりました。そのような状勢の中、新人画会を結成した麻生三郎や松本竣介をはじめ、戦争とは直接関係のない、自分たちの絵画を発表しようと奮闘した画家たちもいました。また、兵士として従軍した画家たちの中には山本日子士良や古沢岩美のように、戦地となった中国の風景や仲間の兵士たちの姿をスケッチした者もいました。そして終戦後、従軍や外地での捕虜生活など、様々な形で戦争を体験した画家たちにより、改めて戦争をテーマにした作品が描かれています。