日本人の色彩観・美意識の象徴の一つである藍染めの世界を探求し続け、第一線で活躍を続ける“染め”の美術家・福本潮子。今年3月に出版される『福本潮子作品集―藍の青― FUKUMOTO SHIHOKO JAPAN BLUE』は1977年から2015年の最新作に至るまで、福本の手から生まれた全作品シリーズの代表作を収録した、約40年間に渡る仕事の軌跡を辿る集大成の作品集です。その出版を記念して、アートコートギャラリーでは、各時代より選りすぐりの代表作(約15点)を展示し、福本潮子の真骨頂をご覧いただきます。
福本は“私の理想の空間意識”を求める独自の美学によって、藍染の伝統に現代感覚との革新的な一体化をもたらしました。素材がコンセプト、基調色はブルー。藍に染め抜かれてさらに際立つ布地の白。そして空間に透き通るブルーグラデーション。福本潮子の藍は科学では捉えきれない時空間と美を留め、見る者の本能的な自然感覚を呼び覚まします。その類稀なる藍の美で、『第13回国際タピスリー・ビエンナーレ』(ローザンヌ州立美術館、1987年)を皮切りに、福本は世界のコンテンポラリーの藍染作家の第一人者として常に国内外で高い評価を得るとともに、日本の“工芸 KOGEI”の国際的評価を多いに牽引してきました。
本展は、福本潮子の作家歴を通観できる回顧展となります。どうぞご期待ください。