谷口顕一郎(1976年、札幌生まれ)は、札幌とベルリンを拠点に活動する彫刻家です。 彼は街の道路や壁などの亀裂や破損を「凹(へこ)み」と呼び、その輪郭をトレースし、その形状どおりに切り抜いたプラスチック板を折りたたんで造形するというユニークな手法による彫刻作品「凹みスタディ」を手がけてきました。
昨年第1回本郷新記念札幌彫刻賞を受賞した《凹みスタディ―琴似川 北12条西20丁目―》は、札幌市内の「凹み」がモティーフです。本展では、本作のさまざまなヴァリエーションに加え、琴似川流域で採取した「凹み」による新作、世界の「凹み」による彫刻を合わせて展示します。
都市の片隅で見過ごされてきた「凹み」というネガティブな存在に「美」を見いだし、造形によってポジティブな価値を与える谷口顕一郎のユニークな仕事にご注目ください。