ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ(1759~1840年)は、フランス王妃マリー・アントワネットとナポレオン皇妃ジョゼフィーヌに仕えたベルギー出身の植物画家です。代表作に銅版画集『バラ図譜』、『美花選』があります。彼の作品の大きな特徴は、スティップル・エングレーヴィング(点刻彫版法)という難度の高い技術で花弁の一枚一枚までを正確且つ柔和に表現しているところです。彼は、当時の貴族や上流階級の人々に「花のラファエロ」や「バラのレンブラント」と称えられ、近年では、ボタニカル・アートの巨匠として、多くの人々を魅了しています。
ジョゼフィーヌ皇妃は、自邸であるマルメゾン城の庭園に世界中から貴重な品種のバラを集めて栽培させたことで知られています。ルドゥーテはおよそ250種類ものバラで溢れるその庭園に自由に出入りすることを許され、皇妃に捧げるために『バラ図譜』の制作に没頭しました。
本展では、植物画の正確さと芸術的豊かさを併せ持った『バラ図譜』全点に扉絵を合わせた170点と、ヴェラムという高級な羊皮紙に水彩や鉛筆で描かれた貴重な原画、そして関連作品の合わせて約180点を展示し、ルドゥーテ・ワールドの魅力を余すところなく紹介します。
関連イベントも盛りだくさんです。ルドゥーテ作品の技法を体験する「こども美術館」、バラが重要な役どころを務める、ファンタジーとラブ・ストーリーの傑作映画「美女と野獣」の上映会、講師に山梨県出身のバラの栽培家、後藤みどり氏を迎えての講演会等を行ないますので、魅惑的なバラの世界に浸っていただきたいと考えております。
レストランでは通常メニューにバラにまつわる特別メニューが加わり、ミュージアムショップでは華やかなバラ・グッズも多数展開されます。