めぐるめぐるオロスコワールド
ガブリエル・オロスコ(1962- メキシコ生)は、1990年代前半から現在まで国際的に活躍している現代美術を代表するアーティストの一人です。これまで世界各国の美術館で個展が開催されてきましたが、今回は待望の日本で初めての美術館での個展となります。
オロスコは、路上に打ち捨てられた物や何気ない風景の中から魅力的なかたちを発見したり、それらにほんの少し介入してかたちを変えたりして作品に転換します。日本庭園で石や砂を水の流れに見立てるのにも似た事物の新たな読み替えは、見る者にそれを読み解く楽しさを与えます。地域性や政治性を排除したユニバーサルな彫刻や、さりげないスナップショットのような写真は、90年代の現代美術を語る上で欠かせないものであり、現在活躍する日本の若手アーティストにも大きな影響を与えてきました。万物が繰り返し流転し循環するその様を捉えるオロスコ。自動車を分割して貼り合わせた代表作《La DS》から新作まで、異なる年代と場所で生まれた作品がここ東京で出会い、新たな循環が始まります。