笠井誠一(1932-)は札幌に生まれ、名古屋と東京を拠点に活躍する画家です。花や果物、楽器や道具類などといった限られたモチーフを、卓上や室内に配した独特の静物画で知られ、その透明感あふれる画面と緻密な構築性によって、高い評価を得てきました。清廉な空気を漂わせる笠井の静物画は、およそ40年にわたって長くそのスタイルを貫き、現在に至っています。
本展は、笠井の生地・札幌における初めての大規模な個展です。これまでまとめて紹介される機会のなかったその画業を、初期の風景表現や人物画、滞欧時の作品から現在に通ずる静物画、近年の室内をモチーフとしたものに至るまで、約90点の作品によって紹介します。