1906-11年、パリ近郊、陶芸家メテの工房。
―芸術の革新を担う若き画家たちが魅せられた、絵画と陶芸の競演。
1900年代初頭のフランスで、新しい表現を模索していたルオー、マティス、ドランなどの画家たち。激しい色彩を特徴とした彼らの作品が飾られた1905年のサロン・ドートンヌの批評に由来して、「フォーヴ(野獣)の画家」と称されたことはあまりに有名です。しかし、同じ時期に彼らが陶磁器制作に没頭していたことは日本ではほとんど知られていません。画家たちは画商ヴォラールの誘いもあって、パリ近郊にあるアンドレ・メテ(1871-1920)の工房に通います。色彩が釉薬に溶けて輝きを帯びる陶磁器の制作に魅せられた画家たちは、メテの用意する皿や壺に、大胆な表現と巧みなタッチによる絵付けを施します。その新しい装飾性と色彩の輝きは、批評家やコレクターを大いに魅了したのです。
本展は、およそ5年間に集中して制作されたルオーとフォーヴの画家による陶磁器を日本で初めて紹介します。特に実り多い陶磁器制作を行ったルオーと、画家たちの創作に重要な役割を果たしたメテに焦点を当てながら、陶磁器のほか、油彩、水彩、デッサンにより、20世紀初頭における絵画と装飾芸術の関係を探ります。フォーヴの陶磁器とメテの作品は、日本ではほとんど所蔵されておらず、フランスから約70点が初来日となる本展は貴重な機会となります。