「幼いときに工芸品を見て美しいと感じたように、自分の作品を見て美しいと感動して欲しい。」明快に自らの作品に対して語る画家・青柳ナツエ。現代女性と着物をテーマに作品を描いてきた芸術家は新たな地平へと向かっている。
所属していた絵画団体を離れて以降、美術館や画廊などにおける個展を中心に積極的に作品を発表してきたが、大作を含めた作品を都心に展示するのは約10年ぶりになる。今回のシロタ画廊における個展では代表的な大作と併せ、最近、取り組んでいる裸婦作品も展示されるという。「裸婦」と言っても現代女性と着物をモチーフとして踏襲しており、同性の視線から捉えられた作品は妖艶な品格を備え、鑑賞者を圧倒する。本展は近作の集大成と位置づけられ、画家の10年を振り返る展示にもなっている。
未来を見つめ、自身の生涯を通じての代表作となるべき作品の構想にも着手したという青柳ナツエ。今後の活動に一層の注目をしてゆきたい。
(公益財団法人 サトエ21世紀美術館 主任学芸員 江口 健)