<路地に建てられた都市―釜山>展は、釜山の美術、釜山の作家の美術を厳選して紹介する釜山市立美術館所蔵品展です。今回の展覧会は、釜山市立美術館と厚い友情のもと、交流を続けてきた長崎県美術館との交流事業の一環として企画されました。
2013年度、釜山市立美術館で長崎県美術館所蔵品展<スペイン/長崎>展が開催されました。この展覧会では世界的なスペインの作家ゴヤの版画をはじめ、スペインの中世と近世の貴重な作品が展示され、多くの市民の関心を寄せ、釜山市民にとって貴重な体験となりました。<路地に建てられた都市―釜山>展は、<スペイン/長崎>展に続く二回目の交流展です。長崎は様々な点で釜山と非常に似ています。港町として発展したことや、小高い山や川に沿って町が形成されていること、そして、かつて西洋の文物を受け入れた海洋と内陸とを結ぶ文化の玄関口であったことなどの共通点は、両都市の間に親近感を抱かせるものです。特殊な地形は独特の文化を形成します。ならば、両都市の間には今後より多くの類似点を発見することができ、その親交はさらに深まるでしょう。
現代の釜山は名実ともに国際都市として成長しました。海岸線と丘陵に沿って発達した、いわゆる「ゴルモッキル(路地)基盤」は、高いビルによってブロックされた道に変化していきます。大通りが地形を二分してのびるのとは異なり、路地は近隣の人々を結ぶ共有化された空間を形成します。これは、近代的な町の風情でもあります。釜山はこのように近代と現代が共存しながら進化しており、天恵の自然環境と都市環境が調和した世界的なリゾート都市として成長しました。
また、釜山は歴史的に波瀾に満ちており、そのような中でも最適の文化基盤を築き上げました。これらの時空間的環境は、路地(道)の文化を保存してきました。釜山のブランドであり、キャッチフレーズである「ダイナミック釜山」は、そのような複合文化都市を物語っています。
釜山に根付き感性を高めてきた作家たちが存在し、このユニークな都市をモチーフに表現した多くの美術作品が生み出されています。その中でも、釜山の感性と釜山の眼差しを代表する14人の作家による17点の作品を長崎県美術館で紹介できることは、誠に喜ばしいことです。この展覧会が長崎の方々にとって、釜山をより身近に感じていただくきっかけになれば幸いです。
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