19世紀後半は芸術にとって激動の時代でした。市民革命や産業革命が契機となって市民階級が台頭したことにより, 絵画に求められる主題は, 歴史的・神話的事象や人物から, 市井の人々やその生活そして自然へと変化しました。それにともない, 画家は戸外へとアトリエを開放し, 目に見たままを描こうとするレアリスム(写実主義)が主張されるようになります。視覚重視のこの傾向は, 光を描く印象派や新印象派を生み出し, ついには「絵画」それ自体の存在・意義を問い直すナビ派やキュビスムのような動きに繋がります。本展示では, 新たな「絵画」発見の中心地となったフランスの, コローからモネ, ピサロ, ボナール, マティス, そしてモディリアーニらにいたる実り豊かな展開の一端をご覧頂きます。