升田学はパーフォーマーとして知られていますが、ハリガネ画家としても精力的に活動しています。升田が「ヒトスジ」と呼ぶ一本のハリガネが生む一筆書きのような作品の評価は高く、その魅力は、「尼崎アートフェスティバル 2014」でも注目されました。作品が光に照らされると、大地から芽吹く植物のように見えます。それは升田が阪神淡路大震災を経験したとき、足下の大地を見つめなおすことで自分を奮い立たせたことと重なります。
田中健作はマスメディアの情報と現場のギャップをテーマにする写真家です。その評価は高く、国際写真祭で「期待できるアジア若手写真家 10人」に選出されています。口蹄疫で苦しむ宮崎の畜産家へ、また東日本大震災の被災地と津波で流された桟橋を追って米西海岸へも足を運びました。津波被害に遭った家屋跡に残された床を撮影した作品は自然の力と、同時に人の営みを想像させます。
生活を一変させるような現実に遭遇したとき、二人は大地をしっかりと見つめ、再生と創造へとエネルギーを自ら注ぎました。二人の作品が、私たちにどんなメッセージを届けてくれるでしょうか。
AMA展2014アドミニストレーター / 吉川直哉