タイマーで制御した小型ファンの気流で円筒形の袋が垂直方向に膨らんだり萎んだり...。ポリシートが見せる有機的な動きで「虚を見て虚を得る」感覚を観る者に与える《Untitled》(2009)は、大西自身が空気や空洞に対して「体積」を見出し、後の代表作《体積の裏側》につながった重要なキーとなる作品です。また、グルーガンを絵筆のように使い接着剤を塗り込めた表面を熱で溶かし、金属粉を擦り混ぜた板状の作品《exchange of surface》について、大西は「行為と現象を重ねて堆積させた痕跡」と語ります。