柳澤吉保(1656~1714)は、五代将軍徳川綱吉の絶大な信頼のもと小姓から15万石余の城持ち大名へと異例の出世を遂げ、綱吉治世の文治政治を主導しました。吉保は元禄7年(1694)、川越城を賜り初めて城持ち大名となりました。以後、宝永元年(1704)までの10年間川越藩主を勤め、三富地方の新田開発を行い川越藩領の確立に努めました。
武家社会の秩序が整備された時代の吉保の異例の出世は、恨みや妬みの対象となり、存命中から悪のイメージで捉えられてきました。しかし近年の研究では、権力に溺れることなく慎み深く生きた実直な吉保像が明らかにされています。
平成26年(2014)は、吉保の没後300年という節目の年にあたります。これを記念して本展では、公益財団法人郡山城史跡・柳沢文庫保存会と連携し、柳沢文庫の未公開資料を含む関係資料を通して川越藩主時代の吉保の事績を中心に紹介します。また、吉保が活躍した元禄期の文化にもスポットを当て、文人大名柳澤吉保やその子孫の文化との関わりもご覧頂きます。