現在、栃木県においては竹工芸の分野で、勝城蒼鳳(かつしろそうほう)(1934- )と藤沼昇(ふじぬまのぼる)(1945- )の二人が重要無形文化財保持者(人間国宝)として認定されています。人間国宝の制度が始まって以来、竹工芸で一県から二名が認定されるのは初めてのことで、本県の竹工芸の水準の高さを示しています。
今でこそ芸術性が認められていますが、かつて工芸の中で一段低くみなされていた竹工芸を、傑出した造形力で芸術の域にまで昇華させたのが、現在の栃木市出身の飯塚琅玕齋(いいづかろうかんさい)(1890-1958)でした。
本展では、琅玕齋とその兄鳳齋(ほうさい)(1872-1934)、琅玕齋の子息で人間国宝に認定された小玕齋(しょうかんさい)(1919-2004)の作品をはじめ、勝城蒼鳳、藤沼昇や、県ゆかりの作家の作品約150点を紹介し、栃木における近代竹工芸の展開を探ります。あわせて歴代の重要無形文化財保持者、生野祥雲齋(しょうのしょううんさい)(1904-74)、二代前田竹房齋(まえだちくぼうさい)(1917-2003)、五世早川尚古齋(はやかわしょうこさい)(1932-2011)の作品も紹介します。
しなやかに伸びる美しい竹。その竹を伐り、割り、編み、作家の手によって新たな命を吹き込まれた、竹の優品の数々をご覧ください。