青木寿恵 (すえ) の更紗 (さらさ) が放つ、美しき色彩の魔法。
“草木染め手描き更紗作家”青木寿恵 (あおき すえ) が生涯を通して遺した作品の中で、異彩を放つのがタペストリー作品です。
タペストリーは糸と糸の縫い合わせによってカラフルな絵柄を作り出す織物で、純粋な芸術家が美術作品として手がけることは少ないもの。しかしながら、タペストリー特有の長方形という不可思議な形は、まるで彼女の描く更紗紋様に呼応するかのように美しく融合し、新たな形の更紗作品を誕生させました。その作品は作者の生業であった着物や帯の作品たちとまた違った自由さを得て、見る者を魅了します。本展ではそのタペストリー作品に焦点を当てながら、作者の代表的な着物や帯などを合わせて展示いたします。鳥や草木をあしらった幾何学紋様をはじめ、諸国の女神に想いを馳せた作品や何気ない日常で感動した景色など、作者の想いが織り交ぜられた作品たちを、秋の季節の移ろいとともにご堪能ください。