「山紫水明」や「花鳥風月」といった言葉で表されるように、日本画家は豊かで多彩な表情を見せる自然や動植物を、優美にそして抒情的に描いてきました。一方で、自然に潜む生命感、生きるものへの温かな眼差しと敬慕の念など、日本人が持つアニミズム的な宗教観や自然への共感を示す作品も数多く描かれています。
東京オペラシティ アートギャラリーの寺田コレクションは、美術コレクター寺田小太郎氏が収集し寄贈したもので、中でも日本画は、画家が自然や生命に向き合ってきた多彩な表現、さらに、自然に育まれる人間という存在を見つめた作品まで、いわば自然と生命への讃歌といえる内容となっています。
昨年度に引き続き寺田コレクションを紹介する本展では、現代の日本画壇を代表する稗田一穂や竹内浩一、西田俊英をはじめ、フジイフランソワ、長沢明といった若手俊英まで80点の作品を通して、日本画家たちの生への様々な想いを紹介いたします。