イランの東から中央アジアの地域は、メソポタミア神話では金銀宝石の豊かな黄金の国として語られています。その中心こそバクトリアであり古くから異文化が交錯し、優れた芸術を何千年にもわたって産み出して来たのです。アレクサンダーの東征以降、アラル海に注ぐオクサス川流域にギリシャ人の殖民が多く行われ、紀元前3世紀中頃バクトリア王国が独立しました。しかし20世紀後半にその遺跡が発掘されるまで、その痕跡はコインとギリシャの古典しかなく幻の王国とまで言われたのです。今回初公開されるバクトリア遺宝は大英博物館のオクサス遺宝と大変近い由来を持つ“第二オクサス遺宝”とも言われるものでバクトリアの神殿に奉納されたものと考えられています。東西文化が美しく織り成す古代バクトリア文化の香りと彼らの祈りを感じ取っていただければ幸いです。