1950年代後半から今日まで、第一線を走り続ける写真家・篠山紀信(1940年生)。ヌードや都市風景、スターたちのポートレートなど、次々と発表される写真は時に物議を醸し、彼の用いた「激写」などは流行語にもなりました。驚異的なスピードとエネルギーで、テーマやジャンル、手法も多彩に変化させながら、鋭い嗅覚で「いま」を撮り続けてきた篠山は、自身が時代のメディアであったとも言えます。
その国内初の大規模な美術館巡回個展となる本展では、50年にわたり彼が撮影してきた膨大な写真の中から厳選した「人々」のポートレート約130点を、「GOD」(鬼籍に入られた人々)、「STAR」(すべての人々に知られる有名人)、「SPECTACLE」(私たちを異次元に連れ出す夢の世界)、「BODY」(裸の肉体)、「ACCIDENTS」(東日本大震災で被災された人々の肖像)の5つのセクションに分け、美術館の空間を生かした圧倒的なスケールで展示します。それは篠山が一貫して追求してきた写真の力を体感する場になると同時に、私たちの生きてきた時代や生きている今の社会に思いをはせる機会ともなるでしょう。
数多くの有名人を撮影してきた篠山の展覧会らしく、全国巡回各地で地元ゆかりのスターの写真が出品され話題ともなっている本展。当館では宮城県出身のオリンピック金メダリスト・羽生結弦の高校時代の写真も展示されます。