近年、日本の陶芸は、国際的な美術動向を反映しつつ、新たな表現を模索してきました。戦後間もなく走泥社に代表される革新的な美術団体が結成され、いわゆる前衛陶芸が登場し、陶芸は次第に用途を離れた現代芸術の一分野としての表現を確立していきます。さらに1980年代以降になると、大型の作品が増え、陶芸ないし現代陶芸が指し示す範囲は極めて広いものとなり、現在、全国各産地を中心に陶芸ならではの技法と現代的アプローチを試みた様々な造形表現が生み出されています。
日本の現代陶芸の現在を見渡してみると、装飾過剰なもの、シンプルなもの、伝統をベースに創造性を加えていくもの、伝統的なオブジェの系譜につながる造形表現の新たな展開を示すものなど、様々な表現が見られます。そして陶芸の制作プロセスを踏まえ、新たなフォルムや装飾といった造形表現に大きく踏み込み活躍する多くの作家が、様々な地点から新たな「現代」を創出しています。本展では、日本における現代陶芸の現在を「現象」として捉え、その技術の高さと、美しさだけにとどまらない表現の幅広さと魅力を、出品作家69名、作品総数142点により余すところなく紹介します。