世界的なブリキのおもちゃコレクターとして名を馳せる北原照久氏。氏のコレクションはおもちゃにとどまらず、昔懐かしい広告図案、乗り物、モーション・ディスプレイ(機会仕掛けの宣伝用展示物)など幅広い分野にわたっています。
しかし、北原氏が収集するものは、古いものばかりとは限りません。それは、人形作家・与勇輝氏によるヨーロッパの夫婦をモデルにした、心あたたまる作品との出会いから始まりました。以来、北原氏は現代の作家たちのものづくりに対する情熱に共鳴し、立体作品を中心としたユニークなコレクションを築いてきました。
ノスタルジックなドラマを上演する、からくり仕掛けの不思議な箱を製作するムットーニこと武藤政彦氏、革だけを使って人間や動物の姿をユーモアたっぷりに表現する山口孝幸氏、サイバースペース風の美少女のフィギュア制作に意欲的に取り組む山下信一氏ほか、現在では15作家あまりの作品がコレクションされています。どの作品にも共通して、驚異的な技術力をもって制作されていること、夢や遊び心がふんだんに取り込まれていることがあげられます。
本展は、北原氏が愛蔵する15作家の作品約230点を選び、一堂に展覧するものです。氏の現代作家のコレクションをまとめて公開するのは、本展が初の試みであり、たいへん貴重な機会といえます。展示室では気鋭の作家たちによって生み出された驚きの作品が次々に登場、大人も子供も一緒に楽しめる、夢いっぱいの展覧会となることでしょう。