2013(平成25)年度に所蔵された購入、寄贈、寄託作品を紹介いたします。購入作品としては、昨年秋に鎌倉館で開催された「加納光於展」を契機に収蔵されたカラー・インタリオによる《セルペンティナータ》や別館での展覧会がきっかけで収められたジゼル・ツェラン=レトランジュの銅版画による詩画集『息の結晶』などが出品されます。寄贈では、まず村山知義の《ヘルタ・ハインツェ像》があげられます。1920年代に村山知義がドイツ留学中に制作した写実的肖像画の傑作として高く評価されている作品です。さらに、油彩画では、青山義雄の1920年代の作品で《家鴨の葬式》の習作が目を引きます。作者が木下杢太郎に宛てた書簡で触れている作品の習作と考えられる貴重な作品です。ほかにも批評家で仏文学者の寺田透が所蔵していた鳥海青児の《ノートルダム》や井上長三郎の《静物》、《ドン・キホーテ》などが出品されます。彫刻では、浜田知明の《飄々》や木内克の《裸婦》、加えて棟方志功や斎藤清、吹田文明などの版画、ロートレックのポスター、加山又造の日本画など、約70点を展示します。
また、今回寄贈された新収蔵作品から、1950年代から1980年代にかけて制作された小泉淳作(1924-2012)のデッサン約30点を特集展示いたします。小泉淳作は日本画家として知られていますが、今回は日本画の下図とは一味違った、個性的で骨太の人格が明確に表れたデッサンによる人物画や風景画を紹介いたします。