鈴木コレクションは、掛川市内に工場を持つ鈴木始一氏(すずき しいち・1902-1985)が、昭和54年(1979)掛川市へ寄贈された日本画のコレクションです。地域の芸術文化の振興に役立ててほしいという氏の願いのもと、当館では開館以来毎年展覧会を開いております。
この度44点のコレクションの中から四季折々の植物や花鳥が描かれた近代日本画を中心に展示いたします。今日における「日本画」は、私たちの住む日本の風土に根ざした画材・技法として確立されたものです。支持体の和紙や、板に貼る糊、膠や岩絵の具など、それらを扱うのに必要なものは「水」です。わたしたちが、絵具や墨の「にじみ」や「ぼかし」の表現に惹かれ魅力的だと思うのは、水に恵まれ水と共に生きてきたこの国ならではの感覚ではないでしょうか。
本展覧会をとおして、我が国の近代日本画の発展を語るうえで欠かせない画家の作品を改めて味わうとともに、四季折々のモチーフを見つめる画家の繊細な眼差しを感じていただければ幸いです。