東日本大震災では、津波による水が未曾有の災害をもたらしましたが、同時に、生活に必要な水が使えない不自由さを、身にしみて感じた人も多くいたことでしょう。このように、生命の営みと深く関わり、また、変幻自在に姿を変えながら流転し循環を繰り返し様々な表情をみせる水は、古来より芸術家たちの創作意欲をかき立て、作品創造の源となってきました。
本展覧会では、五浦海岸を描いた菱田春草、松尾敏男らの作品を起点として、自然の水に恵まれた郷土茨城の海や湖などの風景と、そこに生きる人々のくらしや生き物の姿を描いた小川芋銭や小林巣居人らの作品、さらに、横山大観の「瀟湘八景」、クロード・モネの「ポール=ドモワの洞窟」等、洋の東西の水にまつわる名作を紹介します。
また、六角堂に展示された野沢二郎の「星を結ぶ/花/かなし」、吉田重信の震災前のいわきの海と震災後の北茨城の海をプリズムを通して撮影した映像作品「ヒカリノミチ」、河口龍夫の「10年前の雨からの給水」などを展示し、作者たちが水にこめた思いや、現代の多様な表現をご覧いただきます。