髙橋節郎(1914-2007)は、生涯を通じて新たな表現に挑み続けた作家です。色漆による鮮やかな作品や抽象的な表現等を経て、艶やかな漆黒と鎗金が織りなす、力強くも幻想的な作品世界へと展開し独自の世界を築き上げました。漆芸を伝統的な表現から脱却させ、新たな地平を開拓したとして、髙橋の活動の軌跡は高い評価を受けています。また髙橋は多忙な作品制作の傍ら母校・東京藝術大学で教鞭をとり、現代工芸美術家協会等の美術団体においても多くの後進を育てました。これらの功により、1997年には文化勲章を受章しています。生誕百年を記念して本展では、髙橋の代表作とともに、墨彩画や漆版画、クラフト等を展観するとともに、作家アトリエに残された未発表資料も紹介し、髙橋節郎の人と芸術の全貌を振り返ります。