木下満男氏(1932-1996)が熱心に集められたコレクションの中から、精緻な細工と煌めきに光をあてた展覧会です。
印龍や煙草入れ、櫛・簪など、掌に乗る大きさにこめられた「小さな宇宙」、東西の職人が如何なく技を発揮させている「東西超絶技巧」、刀装具にみられる「武人が愛した美」と、3部構成からそれぞれの輝きをご覧いただけます。武運を願う文様が細工された刀装具、季節の草花を緻密に、または大胆に配した蒔絵箱、花弁と蝶が軽やかに舞う細工が施された香炉。見えないところまで持ち主が粋を競って身に着けた装身具。
ただ「きらびやか」というだけで目を離すのはもったいない。静かに見つめると、かつて私たち日本人が肌で感じてきた風土の豊かさを随所に感じることができます。
職人たちが、金・銀・銅の煌めきで、ひとつの世界を編みあげていく技の数々。本展覧会をとおして今一度、日本の「美」を感じていただければ幸いです。