福井拓洋の造形の美しさは「用」の美です。しかしその「用」は何ら目的も実用性も持たないのですから、私たちの日常や現実生活を成り立たせている「実用」に対して「虚用」とでも言うべきものです。現実社会における様々なデザインとパラレルに、非現実世界の「虚のデザイン」を展開することにより、福井はものかたちづくるという人間の行為の性格を抽出し、私たちの社会に溢れるものの「形」とは何か、「美」とは何かを問いかけているように思われます。そして今回の展示「CLOUD 9」は、ものの「形」や「機能」と同時に、それが存在している「場所」についても、虚と実を交錯させる試みとなっています。(ギャラリイK)